「栄光なき天才たち」特別シリーズ 〜 宇宙を夢見た男たち 〜
 ― プロローグ ―

 作.伊藤智義


1.ロケット打ち上げ基地
  カウントダウンが始まっている。
 「…5、4、3、2、1、0!」
  ロケット、ものすごい炎と煙を吹き出しながら上昇を始める。
 N「人類の輝ける未来の象徴 ― ロケット」

2.月面
  そこにいる宇宙飛行士。
 N「地球圏を飛び出し、月に降り立った人類は、現在、火星への有人飛行も計画され
  ているという」

3.イメージ
  ロケット研究の三人の先駆者。
  ツィオルコフスキー(ソ連)とゴダード(アメリカ)、そしてオーベルト(ルーマ
  ニア)。
 N「宇宙ロケットが本格的に研究され始めてから、まだ100年も経っていない。そ
  の驚くべき開発スピードは、20世紀科学文明が生んだ、一つの奇跡といえるだろ
  う。
   だが ― 」

4.イメージ
  戦後の米ソ宇宙開発競争の原点となったドイツの”報復兵器V2号”。
 N「そこには常に軍事開発という陰の側面がつきまとっている」

5.米ソのミサイル
  発射されるICBM(大陸間弾道ミサイル)
  米 ミニットマンV
  ソ SS−18
    *
  海から飛び出してくるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)
  米 トライデント
  ソ SS−N−20
 (など。)

  米ソの比較(配備数)
          米     ソ
  ICBM  1000  1338
  IRBM    ―    423
  (中距離弾道ミサイル)
  MRBM    48    ―
  (中射程弾道ミサイル)
  SLBM   312   940
          (1985年現在)

 N「宇宙を目指すその同じ技術によって作られた無数のミサイルが、常に地球を狙って
  いるのも事実である」

6.宇宙空間
  地球を飛び出してくる先のロケット。
 N「わずか100年足らずの宇宙開発の歴史。そこには、宇宙を夢見た男たちの壮大な
  ドラマが秘められているのである ― 」



 1989.3.14

 @ツィオルコフスキー


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