「栄光なき天才たち」

― 伝説の投手 サチェル・ペイジ ―

  作.伊藤智義


1.球場A
  超満員のスタンド。
  花火が上がり、風船が舞い飛ぶ。
 ― 1948年度ワールドシリーズ
   クリーブランド・インディアンス 対 ボストン・ブレーブス ―

2.放送席
 アナ「さあいよいよ開幕ですっ。注目はなんといってもインディアンスのサチェルペイ
  ジっ!」
 解説者「いやあ興奮しますねぇ。大リーグ史上初めて黒人投手がワールドシリーズで登
  板するんですからねぇ。しかもそれがなんと、あのサチェルなんですから」

3.グランド
  試合前のキャッチボールをしている選手たち。
  その中にひとりだけいる長身の黒人選手。
 ― サチェル・ペイジ(42歳) ―
 サチェルの声「とうとう俺はここまできた。みていてくれ、ギブソン」
 「サチェルーッ!!」の声援がとぶ。
  その場面、次第にかすれていき ―

4.球場B
  堂々たる風格の黒人バッター、ギブソン、ピッチャーの投げた球を豪快に打ち抜く。
  思わず打球を振り仰ぐピッチャー。
 アナ「打ったーっ!!打球はレフトスタンド一直線っ!!」
  レフト、一歩も動かず。
 アナ「文句なしっ!黒いベーブ・ルース、ジョシュ・ギブソン、通算800号ホームラ
  ン!!」
  スタンドの大歓声。
  その中をガッツポーズをとりながらダイヤモンドを回るギブソン。
  見ると、適も味方も選手は皆黒人である。
 N「かつてアメリカには黒人リーグというものがあった。大リーグが黒人禁制だったた
  めである」
  三塁ベースを回るギブソン。
 N「“黒人は黒人だけで野球をやれっ!”
   が、黒人リーグのレベルは非常に高く、大リーグと同等、あるいはそれ以上だった
  と言われている(それは現在活躍している多くの黒人大リーガーを見れば容易に想像
  がつくだろう)」
  本塁ベースを踏み、声援に応えるギブソン。
 N「そこには大リーグと全く同様に、このギブソンをはじめ、数々のスターがいた」
  ギブソン、ベンチの前のナインと握手。
 N「その中でもひときわ大きく輝く大スターと言えば ― 」
  ギブソン、最後にすでにグローブをはめているサチェルとガッチリ握手。
 N「ベースボール史上、最高の投手と目される男、それがサチェル・ペイジ」
 ギブソン「(サチェルに)あとは頼んだぞ」
 サチェル「(ニヤッとして)まかしとけよ」
 N「この男である ― 」

5.グランド
 球審「ボール!フォア!」
  バッター、一塁へ。
 アナ「またしてもフォアボール!三者連続!どうしたことか、サチェル、最終回にきて
  突如コントロールをみだしましたっ」
  キャッチャーのギブソン、タイムをかけてマウンドへ行く。

6.マウンド
  平然としているサチェル。
 サチェル「どうしたんだ?ギブソン、血相を変えて」
 ギブソン「どうしたって、こっちが聞きたいよ、サチェル。ノーアウト満塁だぞ。一体
  どうしたんだ?」
 サチェル「なーに、お客さんが退屈そうだから、最後に見せ場をつくったまでさ」
 ギブソン「見せ場って、点差がわかって言ってるのか?1対0なんだぞっ。リードはた
  ったの1点」
 サチェル「平気、平気。今日はお前の800号を記念して、ハデに決めてやるよ」
  サチェル、バックに、
 サチェル「オーイ、みんなベンチにさがってくれっ!ここはオレとギブソンだけで十分
  だっ!」
 ギブソン「オイ…」

7.放送席
 アナ「アッとこれはどうしたことかっ?!モナクスの選手、バッテリーを除いてみんな
  ベンチに引き上げます。サチェル、一人でこのピンチを切り抜けるというのか?!」

8.スタンド
 「オオーッ」
  驚き、そしてゾクゾクするような興奮。
   *
 N「これは作り話ではない。れっきとした事実である。サチェルは自分でピンチをつく
  り、そして自分一人で片づけた」

9.マウンド
  ダイナミックなフォームからサチェル、
 「ムン!」
  と豪速球を投げ込む。

10.空振りをする打者A
 審判「ストライク、アウト!」

11.空振りする打者B
 審判「ストライク、アウト!!」

12.空振りする打者C
 審判「ストライーク、バッターアウトッ!!!ゲームセット!!!」
   *
 「ウオオオーッ!!」
  沸き上がる大歓声。
  余裕のサチェル、ギブソンとガッチリ握手。
 N「そのずば抜けた実力とショーマンシップのため、サチェルは白人をも含めたすべて
  の野球ファンを魅了し続け、すでにこの時、伝説的な人物となっていた。
   だが、そんなサチェルにさえ、大リーグの門は堅く閉ざされていた」

13.ロッカー
  着替えをしているモナクスナイン。
  勝利の余韻が残っている。
 選手A「いやあ、今日のサチェルはすごかったな」
 選手B「ああ。もしサチェルが大リーグで投げられたら、間違いなく史上最高の投手と
  呼ばれてただろうな」
 選手A「(見る)あの”火の球投手”ボブ・フェラー(大リーグ・インディアンス)が
  サチェルの球を見てうなったそうだ。自分の速球がまるでチェンジアップに見えるほ
  どサチェルの球は速かったってね」
  そんな話を聞くともなしに聞きながら着替えをしているサチェル。
 ― 大リーグか… ―
  フフ、と寂しそうな笑みを浮かべる。
  と、そこへ男A、かけ込んでくる。
 男A「大ニュース!大ニュース!」
  見る一同。
 ギブソン「どうしたんだ?」
 男A「大リーグが今年から黒人選手を採るんだってっ!」
  一同顔を見合わせ ― 薄笑いを浮かべる。
 ギブソン「よせよ。そんな話は耳にタコができるぐらい聞かされてるぜ」
 男A「今度は本当だよっ!ホラ、戦争でずいぶん選手が減っただろ?その穴埋めにって!
  もう引き抜かれる選手だって決まってるんだっ」
  若手選手のロビンソン、ニヤニヤしながら口をはさむ。
 ロビンソン「誰だいそれは?サチェルか?ギブソンか?」
 男A「いや ― ジャッキー・ロビンソン、あんただよ」
 ロビンソン「(ビックリ ― 目を丸くして)オレがあ?!」
  ビックリして見る一同。
  ギブソン。
  そしてサチェル。
 N「1947年、念願かなって黒人大リーガーが誕生する。
   が、それは、大打者ギブソンでもなく大投手サチェルでもなかった。当時はまだま
  だ無名の二塁手、ジャッキー・ロビンソン(ドジャースで活躍、1962年野球殿堂
  入り)だったのである」

14.高級酒場
  飲んでいるサチェルとギブソン。
 ギブソン「なんで…なんでロビンソンなんだっ、えっ?世界で一番遠くへ球を運べるの
  は誰だ?答えてくれっ、サチェル」
 サチェル「おいおい、そんなに飲むと体に悪いぞ」
 ギブソン「(グッとあおる)あんたなら許せたんだ。それどころか心から祝福しただろ
  う。もしオレたちからの大リーグ入りがあるとしたら、第一号はあんたのはずだ。そ
  りゃ間違いない。そして第二号は…それがどうしてあんな若造に…」
 サチェル「若造だからとったんだよ」
 ギブソン「え?」
 サチェル「おまえは今年で35、オレにいたっては40を過ぎている。それにひきかえ
  ロビンソンは若い。大リーグはその若さをとったんだよ」
 ギブソン「フン。昔は”あんたが白ければ”と惜しまれ、今は”若ければ”か ― 。ふ
  ざけるなっ!」
  グッとあおるギブソン。
  サチェル ― 。
  と、奥から、
 声「ロビンソン?しょせん黒人は黒人だよ。大リーグで通用するわけがない」
  振り向くサチェルとギブソン。
  奥で男(白人)が数人、ホロ酔い気分で楽しそうにしゃべっている。
 男1「たとえサチェルやギブソンが来てもダメだろうな。あいつらは黒人リーグだから
  もってたんだ。大リーグとはレベルが違う」
  フラッと立ち上がるギブソン。
 サチェル「(ドキッと見る)ギブソン… ― 」
 男2「(気づかず)そりゃそうだ。ギブソンならオレでも三振にとれる」
 男3「サチェルならオレでもホームランだ」
  はじける笑い。
  そこへギブソン、ヌッと現われる。
  見る男たち。
 男1「なんだおまえは?」
 男2「ここはおまえのような黒んぼの来る所じゃないぞ」
  ギブソン ― 無言。
  突然、殴りかかる。
  ビクッと身を引く男たち。
  サチェルが後ろから必死に止める。
 サチェル「やめろっ!やめるんだっ、ギブソン!」
 男たち「(ビックリ)ギブソン?!」
 ギブソン「離せっ!離してくれっ、サチェル!」
 男たち「(さらにビックリ)サチェル?!」
 ギブソン「(もがいている)なんで…なんでこんなやつらにまでバカにされなきゃなら
  ないんだっ!離せっ!離してくれっ!」
  ドンとサチェルをつきとばす。
  スーッと血の気が引く男たち。
 サチェル「やめろっ!やめるんだっ!」
 ギブソン「(震える声で)おまえらに…オレたちの気持ちがわかってたまるかあっ!」
  怒り爆発。 ― うなるギブソンのこぶし。
 「ヒッ」と首をすくめる男たち。
  ”バコッ”とすごい音。
  が、見ると、ギブソンのこぶしは男たちをはずし、壁に穴をあけている。
  間。
  ヘナヘナと崩れ落ちる男たち。
 サチェル「…」
  ギブソン ― 。
   *
 N「翌1947年初頭、ギブソンは死んだ。脳卒中。慣れない酒の飲み過ぎだと言われ
  ている」
   *
  そこに“カキーン”という快音かぶって、

15.活躍するロビンソンの姿(打率・297、本塁打・12本、盗塁29)
 N「一方、大リーグ入りを果たしたロビンソンの活躍は目ざましく、その年の新人王を
  獲得、黒人リーグのレベルの高さを証明した。以後、急速に黒人選手の大リーグ入り
  が増加する。
   翌48年にはついに ― 」

16.道
  歩いていくスカウトマン二人。
 スカウトA「サチェル・ペイジ?!本気ですか?ヤツはもう老いぼれですよ?」
 スカウトB「いいや、とる価値はある。ヤツはスーパスターだっ」

17.サチェル宅
 サチェル「インディアンスのスカウト?」
 スカウトB「ぜひあなたの右腕がほしいんです」
 サチェル「え…」
  呆然と相手の顔を見つめるサチェル。
  その顔に、大歓声かぶってきて ―

18.球場(ナイター)
  人、人、人、で埋めつくされたスタンド。
 「サチェルーっ!」
  の大声援がとぶ。
   *
  マウンド上のサチェル。
 アナ「ついに伝説の人、サチェル・ペイジ登場!サチェル見たさに集まった観衆、実に
  7万8千。史上最高の入りを記録しましたっ」
  サチェル。
 ― ついに、ついにこの日が、来た… ―
 アナ「さあサチェル、今振りかぶって ― 」
  見つめる大観衆の中、サチェル、第一球、力強く投げ込む。
   *
 N「7月、急きょ大リーグ入りを果たしたサチェルは、ペナントレース後半を6勝1敗
  10セーブと大車輪の活躍を見せ、インディアンスを28年ぶりの優勝に導いた。
   そして入団一年目にして、夢にまで見たワールドシリーズに臨むことになる。
   しかし ― 」

19.球場(ワールドシリーズ)
  騒然となっている場内。
 アナ「どうしたことでしょう、この第五戦もサチェルは出てきませんっ。3勝1敗とワ
  ールドチャンピオンに王手をかけたインディアンス、今日の先発は第一戦の先発投手
  ボブ・フェラー。中三日で出てきましたっ」
   *
  マウンドに上がるフェラー。
  激しいブーイング。
 「サチェルはどうしたーっ!!」
 「サチェルを出せーっ!!」
   *
 解説者「しかしどうしてサチェルは投げないんでしょう?なぜ…?」

20.ベンチ
  じっとフェラーを見ているサチェル。
 アナの声「考えられるのは故障ですが…それともなにかほかに…」
 解説者の声「うーん…わかりません」
 サチェル「…」

21.回想(酒場)
 男「(酔っぱらっている)なぜあんたがワールドシリーズに使ってもらえないかって?
  理由は簡単さ」
  見るサチェル。
 男「しかもそれはあんたが一番よくわかってるはずだ」
  サチェル。
 男「そう。黒人だからだよ」
  サチェル。
  間。
  サチェル ― 。
  そこに大歓声、よみがえってきて、
  “カキーン”と快音。

22.球場
 アナ「打ったーっ!!センター前ヒットッ!!三塁ランナー、ホームイン!ブレーブス
  同点に追いつきました。五対五の同点!」
  歓喜してベースを駆け抜ける選手。
 アナ「フェラー、ついに七回につかまりました。しかもまだノーアウト。アッとたまり
  かねて監督兼任のショート、ルー・ブードロー、タイム!ピッチャー交代かっ?!」

23.ブルペン
  投球練習を続けながら様子をうかがっているサチェル。

24.グランド
  マウンド上に集まっている選手たち。
 ブードロー「(審判に)ピッチャー交替」
   *
 アナ「さあ、いよいよサチェル・ペイジの登場かっ?!」
 解説者「ここはサチェルしかいないでしょう」

25.スタンド
 「サチェル」「サチェル」の大合唱。

26.ブルペン
  ボードを見上げるサチェル。
 場内放送「インディアンス、選手の交替をお知らせします。ピッチャー、フェラーに替
  わりまして、クリーマン」
  ボード、パタンと変わる。

27.スタンド
 「エーッ?!」

28.ブルペン
  肩を落とすサチェル。
  その横をクリーマン、マウンドへ向かう。

29.スタンド
 「サチェルはどうしたんだっ!」
 「サチェルを出せっ!サチェルをっ!」

30.サチェル ―

31.アナ
 「痛烈っ!!レフト前ヒットっ!!」

32.マウンド
  反射的に打球を振り返るピッチャー。
  走り抜けるランナー。
 アナ「三塁ランナーに続いて二塁ランナーもホームイン!ブレーブス逆転っ!!クリー
  マン、メッタ打ちっ!!」

33.スコアーボード
 N「しょせん二線級投手では火のついたブレーブス打線を抑えられるはずもなく」
  5点、6点とボードが変わる。
 N「気がついてみれば11対5。大勢はすでに決した」

34.マウンド
  苦しそうに肩で息をしているピッチャー。
 解説者の声「インディアンスはこの試合、捨てましたね」

35.放送席
 解説者「サチェルは明日の先発でしょう」
 アナ「アッと、ブードロー、またまたタイム。ピッチャーの交替か?(解説者に)ここ
  でサチェルは?」
 解説者「あり得ませんね。敗戦処理にサチェルを使うなんて、考えられません」

36.スタンド
  大差がついて白けている。
 「帰ろ、帰ろ」と出口へ向かう人たち。

37.ブードロー
 「ピッチャー、サチェル!」

38.スタンド
  帰ろうとしていた人たちの足が止まり ―
 「おおーっ」
  と、どよめきが走る。

39.放送席
 アナ「(驚き)サチェルですっ!あのサチェルが敗戦処理で出てきましたっ!」
 解説者「(ビックリ。声が出ない)…」

40.ブルペン
  サチェル、堅い表情のままマウンドへ向かう。
   *
  グランドにサチェルが現われ、再び興奮してくる人々。
 「サチェルーっ!」
  沸き上がる大歓声。
   *
  その中を、ゆっくりマウンドに向かうサチェル。
  その顔に ―

41.回想
 男「なぜあんたがワールドシリーズに使ってもらえないかって?理由は簡単さ」

42.サチェル

43.回想
 男「しかもそいつはあんたが一番よく知ってるはず ― 」

44.サチェル

45.回想
 男「そう。黒人だからだよ」
   *
  その男を打ち破るように黒いこぶしが、うなりを上げる。
  壁に穴をあけたギブソンの哀しみ ― 。

46.サチェル ―
  マウンドに立つ。
  大声援の中、黙々と投球練習を始めるサチェル。
 ― 敗戦処理…それがオレに対する待遇ならばそれでいい。
  すべては今から始まるんだっ ―

47.バッター
  二度三度、素振りをくれる。
 ― 老いぼれめ。メッタ打ちにしてやるっ ―

48.マウンド
  仁王立ちのサチェル。
 アナ「さあ、いよいよ注目の第一球ですっ。サチェル・ペイジっ」
   *
  シーンと静まり返っている場内。
   *
  サチェル。
 ― 点差が何点あろうと関係ないっ。ここは確かにワールドシリーズのマウンドだっ。
  そしてすべては今、始まるっ ―
 「ヌオオオーッ」
  雄叫びを上げ、振りかぶるサチェル。
  踏み込む足。
  しなる腕。
  鋭く輝く目。
  圧倒的迫力で第一球、投げ込む。

49.うなりを上げて進む投球
  その迫力に、バッター、「ウワッ」と身を引くが ―
  投球ズバリとミットに決まる。
 審判「ストライークッ!」
 バッター「(おののき)速え…」

50.スタンド
  驚嘆 ― 声が出ない。
 観客A「(呆然)スゲェ…」
 観客B「い…いいぞーっ!!」
  それを合図に突然沸き上がる大歓声。

51.ベンチ
  驚嘆している面々。
 「あれが40過ぎた男の投げるボールか?」
 ボブ・フェラー「まさに全盛期のサチェルの投球だ…」

52.サチェル
  返球を受ける。
 ― そうだ。今始まるんだ。このオレの手で ―
 「ヌオオオーッ」
  投げ込むサチェル。

53.ズバン!と決まる投球
 審判「ストライーク、ツーッ!!」
 歓声「オオーッ!!」
   *
  モーションを起こすサチェル。
 ― そうだ ―
   *
  立ち上がる観客たち。
 ― 今、始まるんだ ―
   *
  投げ込むサチェル。
 ― 新しい野球の歴史が ―
   *
  興奮して見守る大観衆。
 ― 今から! ―

54.ズバン!!と決まる豪速球
  審判 ― “ストライクッバッターアウトッ!”の大げさなジェスチャー。

55.爆発する大興奮

56.呆然としているバッター

57.ニヤッと笑って返球を受けとるサチェル ―
   *
 N「しかし、サチェルがワールドシリーズで登板したのはこれが最初で最後だった。
  インディアンスは翌第六戦を白人だけで勝ち抜き、チャンピオンシップを獲得した
   ― 」

58.大リーグ各球団で投げているサチェルの姿
  クリーブラント・インディアンス ― 42歳 ―
   *
  セントルイス・ブラウンズ(ボルティモア・オリオールズの前身)― 45歳 ―
   *
  カンザスシティー・アスレチックス ― 49歳 ―
 N「サチェル・ペイジ ― 42歳で大リーグ入りした伝説の投手。合計6シーズン、通算
  成績28勝31敗。
   だがそれは、記録に残ったほんの一部に過ぎない」

59.黒人リーグで投げている全盛期のサチェルの姿
 N「生涯登板試合数二千五百以上、その勝ち星は二千勝を上回るといわれている ― 」
  再び大歓声、よみがえってきて ―

60.ワールドシリーズの大歓声の中
  圧倒的迫力で投げ込むサチェルの雄姿。
  そこに ―
 N「1971年、サチェル・ペイジは、“大リーグ在籍10年”の規則を打ち破り、
  “野球殿堂”入りを果たした ― 」

61.「ワーッ!!」
  と、大歓声が鳴り響く球場がロングになって ―


 (終)


解説


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