ボリュームディスプレイ
ボリュームディスプレイは実際の3次元空間に立体映像を直接描画するため,観察者は特別な装置などを装着することなく,色々な方向から自然な3次元像を得ることができます.そのため,医療応用や建築設計,広告分野やエンターテインメントにおける,3次元可視化技術として注目を集めています.当研究室では,ボリュームディスプレイの持つ独自の3次元構造に着目し,機械と人間とを結びつける新たなヒューマンコンピュータインタラクションの実現を目指して研究を行っています.

複数の2次元情報を保持する3次元構造体

複数枚の2次元画像を3次元構造体に組み込む独自アルゴリズムについて研究・開発を行っています.このアルゴリズムで作製した3次元構造体は,見る方向に応じて異なる指向性画像を表示します.複数の視野あるいは人に向けて独立した情報を同時に伝えることが可能なため,芸術やエンターテインメント分野の他に,ディジタルサイネージを含む広告技術や安全を提供するセキュリティ技術など社会に新たな価値をもたらすことができると考えています.

複数のフルカラー動画像表示システム

当研究室で開発した3次元構造体設計アルゴリズムを更に発展させ,複数のフルカラー動画像を表示するボリュームディスプレイの開発に取り組んでいます.実現のために,発光ダイオード(LED)を3次元格子状に並べたボリュームディスプレイや,3次元的に配置した糸に対してプロジェクタで映像を投影するボリュームディスプレイを作製しました.現在は主に解像度の向上に取り組んでいます

ナノ光材料を用いた光制御ボリュームディスプレイの開発

量子ドットやフォトクロミック材料といった,外部からの光励起で制御可能なナノ光材料を画素とする光制御ボリュームディスプレイの研究・開発を行っています.LEDなどの電子デバイスとは異なり,ナノ光材料では光を介したワイヤレスでの画素制御が可能です.そのため,電子制御では実現不可能なレベルの高精細・高解像度の可能性を秘めています.実用化を目指し,基礎的な原理確認実験やシステム開発に取り組んでいます.
Optically controlled volumetric display based on nanomaterials

References

  1. Hirotaka Nakayama, Atsushi Shiraki, Ryuji Hirayama, Nobuyuki Masuda, Tomoyoshi Shimobaba and Tomoyoshi Ito, “Three-Dimensional Volume Containing Multiple Two-Dimensional Information Patterns,” Scientific Reports, 3, 1931 (2013). [link]
  2. Ryuji Hirayama, Makoto Naruse, Hirotaka Nakayama, Naoya Tate, Atsushi Shiraki, Takashi Kakue, Tomoyoshi Shimobaba, Motoichi Ohtsu and Tomoyoshi Ito, “Design, Implementation and Characterization of a Quantum-Dot-Based Volumetric Display,” Scientific Reports, 5, 8472 (2015). [link]
  3. Ryuji Hirayama, Hirotaka Nakayama, Atsushi Shiraki, Takashi Kakue, Tomoyoshi Shimobaba and Tomoyoshi Ito, “Image quality improvement for a 3D structure exhibiting multiple 2D patterns and its implementation,” Optics Express, 24(7), 7319-7327 (2016). [link]
  4. Ryuji Hirayama, Atsushi Shiraki, Makoto Naruse, Shinichiro Nakamura, Hirotaka Nakayama, Takashi Kakue, Tomoyoshi Shimobaba and Tomoyoshi Ito, “Optical Addressing of Multi-Colour Photochromic Material Mixture for Volumetric Display,” Scientific Reports, 6, 31543 (2016). [link]