Research
研究内容
研究内容を紹介します
電動モビリティシステムの高効率化
近年,地球環境問題への危機意識の高まりから,カーボンニュートラルの実現を目指して全世界レベルでの取り組みが行われています。鉄道や自動車といったモビリティに関しても,今後,内燃機関による駆動から電動駆動へシフトすることは避けられません。その際,電動駆動システム全体の効率を如何に向上させるかが重要な課題となります。そこで本研究では,電動モビリティの代表例の一つである直流電気鉄道システムの高エネルギー効率化について検討しています。電気鉄道車両や電気自動車といった移動体の電動駆動において,減速時の回生エネルギーの有効活用は高エネルギー効率化の大きなカギとなります。本研究では,蓄電装置を上手に活用することで,最大限回生エネルギーを有効活用するシステムについて検討を行っています。また,上記で提案した方法については,数値シミュレーションによる検証とミニモデルによる実験検証を行い,その有効性・実現性を実証します。

超電導応用による電気機器の高エネルギー密度化
超電導線は,直流通電時は抵抗がゼロとなるためMRIやNMR用の強磁場 発生コイル(超電導コイル)に応用されています。しかし,これまでに製品化さ れている超電導コイルは低温超電導線とよばれている金属系の超電導線により巻 かれたコイルで冷媒に液体ヘリウムが用いらています。そのため,昨今のヘリウ ム供給不足などの懸念から,今後の全世界規模でのMRIの需要を考えるとヘリウ ムレスな伝導冷却型高温超電導コイルの開発が必須となります。そこで我々の研 究室では高磁場用高温超電導コイルの設計や研究開発を行っています。また,超 電導線は銅線に比べて非常に電流密度が高いため,電力機器に応用することで機 器の小型化,高エネルギー密度化,高出力化が期待されます。しかし,交流通電 時には交流損失が発生するため,極低温下での損失は効率の悪化を招き,冷却が 必要というペナルティと相まって実用化が進んでいないのが現状です。そこで我 々の研究室では,超電導線の交流損失の精度の良い測定装置を開発し,交流損失 の評価と低減手法の研究を行っています。さらには数値解析を用いて,超電導技 術を巧みに取り入れた次世代の高エネルギー密度な電力機器の研究を行っていま す。
非接触給電
近年,スマートフォンや電動歯ブラシといった小型電気機器の充電に非接触給電技術が使われています。 非接触給電は,空間的に離れた場所で電力伝送を行うことから,充電作業の効率化やメンテナンス性の省力化が期待されています。また大電力用途においても鉄道や電気自動車といった交通手段において,応用に向けた研究が進められています。大電力の伝送において,コイルとキャパシタの共振を用いる方法が知られていますが,その際コイルとキャパシタに過大な電圧が発生するという問題があります。そこで私たちは,非接触給電システムの中でも,電力の送受電に関わるコイルに着目し,コイルの低電圧化やコイル内部で発生する損失の低減に向けて研究を行っています。

磁性材料
高周波で優れた特性を発揮するフェライトは,スイッチング電源などの普及により広く用いられています。しかし,フェライトの基礎損失特性には未だ解明されていない部分も残されています。 損失特性を定量的に明らかにすることにより,フェライト使用機器の小型化・低消費電力化といった高性能化に貢献することを目指しています。

卒業論文・修士論文タイトル
2022年度卒業論文テーマ予定
- 低リプル大電流入出力型双方向DC-DCコンバータの開発
- フェライトの温度特性解析に基づく磁気損失物理モデルの研究
- 無絶縁HTSコイルの熱的安定性に関する研究
- 高速SPMモータの低損失化に関する検討
- 直流電気鉄道における可変リアクトルを用いた電圧制御による回生電力向上の検討
- インバータ励磁下の回転機の鉄損低減法の検討
- ヒステリシスを考慮した鉄損推定手法の検討
- インバータ励磁下の鉄損測定装置の開発
- 撚り線の交流損失推定法に関する研究
- 高周波用空心インダクタに関する研究
- 直流電気鉄道の省エネルギー化のための蓄電装置応用技術の開発
2021年度卒業論文
- インバータ励磁下における表面永久磁石型同期モータの磁石内渦電流損解析
- 直流電気鉄道における分散型地上蓄電システムの容量に関する検討
- MHz帯で使用する高周波インダクタの鉄損測定手法に関する基礎的検討
- トランスの巻線構造に着目した双方向LLC共振形DCDCコンバータの設計
- 単相PWMインバータ励磁条件が無方向性電磁鋼板の鉄損に及ぼす影響
- 蔵本モデルを用いたヒステリシスモデリングの基礎検討
- 三相同一軸高温超電導コイルにおける交流損失に着目した導体構造の設計指針の提案
- モータ電圧昇圧による省エネルギー化を実現する鉄道車両搭載蓄電池容量に関する検討
- 有限要素法を用いた高温超電導コイルにおける遮蔽電流磁場減衰抑制手法の基礎的検討
- 非接触給電システムに用いるオープン型コイルの電圧分布特性に関する検討
2021年度修士論文
- 平滑用電解コンデンサのリプル電流を低減した双方向DC-DCコンバータの開発
- 並列導体を用いた高温超電導コイルにおける局所劣化が熱的安定性に及ぼす影響
- ヒステリシスな磁気特性がSiの濃度勾配を持つ電磁鋼板の渦電流損に与える影響
- 巻線分割を有するオープン型コイルを用いた鉄道用非接触給電コイルの設計に関する検討
- 電力用フェライトの4磁界成分分離解析法の有効性および汎用性に関する研究
2020年度卒業論文
- 電力用フェライトの温度特性に基づく損失解析
- 高温超電導体を用いた原型炉CSコイル小型化に関する基礎的検討
- モンテカルロ法による無方向性電磁鋼板の磁化特性のモデリング手法に関する基礎的検討
- 直流偏磁下における圧粉磁心リアクトルの磁化特性の解析
- 三相同軸高温超電導ケーブルの導体配置構造が交流損失に及ぼす影響の検討
- 圧粉磁心のLLC形双方向DC-DCコンバータへの適用に関する検討
- 磁束密度波形が電磁鋼板の異常渦電流損に及ぼす影響
- 回路解析手法による表皮効果現象の再現とリッツ線の機能解析
- 並列高温超電導導体を用いた無絶縁コイルの励磁特性に関する基礎的検討
- 無方向性電磁鋼板の直流偏磁化における磁化特性測定システムの開発
- 非接触給電システムに用いるオープン型コイルの高効率化に関する基礎的検討
2020年度修士論文
- プレイモデルと有限要素渦電流解析を用いた無方向性電磁鋼板の鉄損推定手法の検討
- 圧粉磁心の高周波損失測定における測定手法の検討と直流磁界重畳の有無における磁化特性
- LLC方式双方向DC-DCコンバータへの圧粉磁心トランス適用の検討
- 回路内抵抗成分を考慮した双方向LLC共振型DC-DCコンバータ